Jアラート 一考  その1

保土ケ谷区災害ボンティアネットワーク 委員 佐藤榮一 

 昨年来、Jアラートの警報が発せられるたびに、巷では疑問と反対の声が上がり、国民の一部は迷い始めている。
反対の理由の主なものは、「政府の、いや内閣の憲法改正、日米安保条約の強化策に利用されている。」とか「空襲を想起させ不安をあおっている」などの意見が個人・団体のみならず、新聞・テレビなどメディアまでが論評をしている。
児童・生徒に対する訓練実施も約20%の学校が実施しないと表明している。

 しばし立ち止まろう。自分の命は自分で守るのは、危機管理・自己防衛の鉄則である。Jアラートは、既に発生してしまった事象に対して発せられるものであるので、大地震に対する『緊急地震速報』と同じものである。空振りか直撃かは判断できない状況で『万が一』に備えるのは個人の判断であり、家族への責任である。

 宇宙空間であれ大気圏であれ、わが国の上空に侵入している事実やわが国を海底に沈める、都市を火の海にするという恫喝を実行できる権力者が発言している事態をリスク要素として対応するのは当然としなければならないと思う。

 政治やイデオロギーの戦術に国民個人を巻き込まないでほしい、と両陣営および中立公平であるべきメディアに苦言として申し述べたい。

 昨年末までは、全国各地からの相談や講演依頼は、「地下鉄・地下街・地下施設は、わが町にはないのだが、」ということであったが最近は「万が一の被害に大げさな訓練」とか「国の右傾化に乗せられそう」など、自分と自分の家族の命を忘れそうになっている人たちが増加していることを懸念する。

 Jアラート発表の根拠法令等は次のとおりであるが、

平成15年 6月     事態対処法(有事関連三法)成立     国会
平成16年 9月     国民保護法 施行     国会
平成16年12月     国民保護のためのしくみ     総務省
平成18年 3月     神奈川県国民保護計画     神奈川県
平成18年11月     横浜市国民保護計画     横浜市
平成21年 3月     保土ヶ谷区危機管理計画(第3部)     保土ヶ谷区

 年月の経過から見ると、行政機関の住民啓発が不足していたことは否めないだろう。また、私たちは自らの知る努力を怠ってはならないと思う。