避難所運営、認知症避難者増加への対応策を

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク委 員  佐 藤 榮 一

 最近高齢者の交通事故が多発し、最悪の死亡・重傷事故につながる悲惨な巻き添え被害で心が痛む、重大な社会問題になっています。
 認知症の高齢者が意識の外で起こした被害にはやり場の無い怒りを被害者の家族ならずとも感じていることでしょう。
 認知症、あるいは、判断力・身体能力や生活技術が衰えた高齢者が災害時に避難所内あるいは仮設住宅生活の中で起こす不適応行動が心配されます。東日本大震災の避難所では数は多くはありませんでしたが認知症の治療を受けている人たちが周囲に気遣いをしてもらっていたそうです。聞き取った主な事象は、

●避難所内を徘徊する。 ●避難所外に出てしまう。 ●狭いところに入り込む。
●他家族の区画に入り込む。 ●口論・けんかをする。
●他人の食料を食べる。●避難スペースで排便・排尿する。 ●全裸になる。

●持病が悪化する。●世話されることを嫌がる。
●怒声・嬌声・大声を上げる。  等々 です。

家族がいない、介護ヘルパー、医療・福祉関係者がいないなど、避難所運営のメンバーは人手が少ない中で苦労されたようです。
 団塊の世代の高齢進行から見ると、増えることはあっても減ることは無い、これからの大災害避難では留意すべき事項ではないでしょうか。HUG(避難所運営ゲーム)などで気づきを得る防災拠点もありますが、まだまだ具体的に活動ができるところは少ないようです。被災ショックで認知症を発症したり、隠れていた症状が現れたりもするようです。 対応は人権問題にも発展することも懸念されますが、他の避難者が過酷な被害を受ける事故は防止しなければなりません。それには、絶対的に穏やかな対応が必要です。