大規模災害時の避難の仕組みを再点検しよう。[その1]

保土ケ谷区災害ボランティアネットワーク 委員 佐 藤 榮 一   

 

   昨年9月の横浜市防災訓練の中核会場は保土ケ谷区であった。ここで異例の総務局による災害時要支援者に対する防災上の懸念事項についての聞き取り調査が行われた。
 区内の福祉業務従事者で構成される障害者自立支援協議会でのテーマの一つである災害時の行動について検討されているが、ここで災害避難について全国各地で不適切な処遇を受けていることが指摘されている。
 例えば、防災訓練では、「障害者は参加ではなく見学していてくれ。」とのことだったが、炊き出しの食糧配布では「参加者には給食はない。」といわれた。最近、「障碍者・認知症・寝たきりの高齢者は、受け入れられない。」とか「障害者・認知症は福祉避難所に行け。」などと、災害救援の根幹にかかわる誤りの例が増加している。
 市会議員団の熊本地震視察の際にも「要支援者を追い出してしまったことを悪例として教訓としてほしい。」旨、現地の関係者から聞かされたとの報告があった。
 わたくしの避難所運営シミュレーション講座の質疑応答でも、「知識もスキルもない我々が災害弱者を受け入れなければならないのか?」と聞かれる。私が行っている『避難所運営シミュレーション』にしても静岡県がおこなっている『HUG(ハグ)』にしてもサブタイトルは、『災害弱者が避難してきた』である。避難所運営組織の上層部は正しく理解しているが多くの住民たちはそうではないことに気を付けなければならないと思う。
 新年になって衝撃的なことに遭遇した。ラジオ相談で、「在宅避難をしている者が食料をもらいに来た。配布すべきか?」の問いに、コメンテーターは「難しい問題ですね。皆で話し合って給食すべきかどうか話し合ってください。」と回答していた。私の講座の中でも、町内会未加入者・帰宅困難者等への給食は課題に上ることは多い。
 その時点で、出来ること出来ないことがあるのは当然であるが、『すべての命を救う、助けを求められたら、無条件で与える。』 心の絆と廉恥の社会を構築しましょう。